【超すごい!】「事業ドメイン(事業領域)」が分かれば商売の本質が分かる!!

ビジネススキル

はじめに -Introduction-

ども。老樹です。昨今、スタートアップという言葉が世間を賑わせ、ひそかに起業ブームが到来しています。独立起業する、つまり事業を始めるときに最初に考えるべきものが”事業ドメイン(事業領域)です。そして、この事業ドメインを正しく理解することで、なんと”商売の本質”までわかってしまうという、素晴らしく便利であり、恐ろしいほど奥が深い概念でもあります。

本記事では、事業ドメイン(事業領域)を活用したスタートアップの成功法について、具体的な例を交えながら解説します。

それではさっそく始めましょう。

この記事でわかること
  • 事業ドメインの3要素
  • 商売の本質、”何を”顧客へ提供するか
  • 事業ドメインの具体的な使用方法

事業ドメイン(事業領域)

商売の本質とは

ここに、会社を辞めて自分で商売を興したいというAさんがいます。しかし、Aさんには起業に必要な資金(元手)がありません。そこでAさんは叔父さんで会社経営者のBさんから開業資金を借りようと思います。

Aさん
Aさん

おじさん、これから自分でお店を経営したいんだ!

だから、お金をかしてよ!必ずうまくいくとおもうからさ!

Bさん
Bさん

ほぅ。どんなお店を始めるつもりなんだい?

Aさん
Aさん

コーヒーショップさ!コーヒー豆にこだわって、おいしいコーヒーを出すお店を作るんだ。

必ずはやると思うよ!コーヒーの淹れ方は研究したし、条件のいい空き店舗も見つけてあるんだ!

Bさん
Bさん

ずいぶんと自信がありそうだねぇ。色々と準備していたようだし。

それじゃぁ、大事なことを聞いておこうか。

A君はお客さんに何を提供して、お金をもらうつもりなんだい?

Aさん
Aさん

B叔父さん、話聞いてた?

だから、”コーヒー豆にこだわったおいしいコーヒー”って言ってるじゃないか!

Bさん
Bさん

そうか・・・A君はまだ商売というものが分かってないみたいだね。

残念だけど、今の君は必ず失敗するからお金は貸せないな。

B叔父さんは「やっぱりな」という感じで、Aさんにはもう少し考える時間が必要だと思い、出資を断ります。

このやり取りで、BさんはAさんに何を期待したのでしょうか。Aさんの何が悪かったのでしょうか。コーヒーは本当においしいかもしれませんし、出資金額によっては条件のいい場所にお店を出せるかもしれません・・・。最後に叔父さんは

「A君はまだ商売というものが分かってないみたいだね。」

と言っています。叔父さんはAさんからどのような答えを期待したのでしょうか。そもそも、”商売”って何なんでしょう??

このとき、Aさんは「事業ドメイン(事業領域)」についてしっかりと理解しておくべきでした。

事業ドメイン(事業領域)の3要素

ドメイン(事業領域)とは、企業の活動内容や成長の方向性を次の「顧客」・「機能」・「技術」の33次元で定義したものです。もう少し詳しく書くと、

とある企業
とある企業

図にするとこんな感じ。

上図カッコ内の言葉を使うとどれが何を指す言葉か分かりにくくなりますので、

覚えやすい事業ドメインの3要素

  1. 誰に
  2. 何を
  3. どのように

と覚えてください。とても大事な概念です。あらゆるシーンでドメインを定義する訓練をして、いつでも使えるようにしっかりと身に着けてください。

用語解説

ドメイン(事業領域)

企業が自らの活動内容や成長の方向性を示すモデルとして、1980年にデレク・F・エーベル(Derek F. Abell)が提唱しました。三次元事業定義モデルとも呼ばれます。「顧客層」・「機能」・「技術」の3次元で企業の活動範囲を定義します。また、内外のステークホルダーに対して自社の存在意義と独自性を示すことにより、「我々は何をしたい会社なのか」・「社会に何を提供したい会社なのか」について相互理解を深める効果が期待できます。このモデルのポイントは、ずばり市場×製品の2軸に「何を(機能・便益)」という新たな尺度を組み込んだことです。アメリカの学者:レビットの有名な格言である、

「ドリルを買いにきた人が欲しいのはドリルではなく『穴』である」

という言葉を想起せずにはいられません。

間違いやすい、「何を(機能・便益)」について

ドメインを使いこなすうえで特に重要なのは、”何を”の部分に何を設定するかということです。間違っても商品や技術などの「売りたいもの」を直接もって来てはいけません。人がコンビニで水を買うとき、水という物質そのものが欲しくてお金を払っているわけではありません。その人は”のどの渇きを潤したい”という欲求を満たす対価として金を支払います。このように、購買者が本当に求めているものを思考することで、「商売とは何なのか」という”企業活動の本質”が見えてくるはずです。

ドメイン(事業領域)の使い方

Case.1 ラーメン屋の事業ドメイン

”誰に”
”誰に”

(誰に)あっさり系ラーメンが好きな人に

”何を”
”何を”

(何を)幸せな食事体験を

”どのように”
”どのように”

(どのように)この北海道のホタテから作った魚介系スープの特製ラーメンで提供したい!

Case.2 カフェの事業ドメイン

”誰に”
”誰に”

(誰に)オフィス街の仕事につかれたビジネスマンに

”何を”
”何を”

(何を)極上の癒し空間を

”どのように”
”どのように”

(どのように)この地中海風の素敵なお店で出すイタリアンコーヒーを飲んでもらうことで提供したい!

Notice

ドメインを設定する際に重要なのは、顧客に提供する便益の本質を見極めることです(機能的定義)。上記のラーメン屋やカフェの例で、間違ってラーメンやコーヒーそのものに定義を狭めてしまうと(物理的定義)、企業活動の範囲を小さく限定してしまい、目先の利益にこだわって環境の変化に対応できなくなってしまいます。

多くの起業家は、製品やサービスそのものを「機能・便益」として捉えがちです。しかし、製品やサービスは「どのように」提供されるか(製品・技術)に該当します。

このように、物理的定義によって成長のチャンスを逃したり環境に対応できなくなることを”マーケティングマイオピア(近視眼的マーケティング)”といいます。

例えば、先ほどのラーメン屋の場合、「特製ラーメン」そのものは「どのように(製品・技術)」に該当し、それを通じて提供される「美味しい食事体験」が「何を(機能・便益)」です。

用語解説

マーケティングマイオピア(Marketing Myopia)

1960年にセオドア・レビット教授(ハーバード大学:米国)が提唱しました。マイオピア(Myopia)とは日本語で「目先のことしか見えない、先見の明がない」という意味です。まさに近視眼的ですね。この状態は別に特別なことではなく、企業はフツーに経営しているだけでこの自己欺瞞状態である”マーケティングマイオピア”に陥ります。怖いですね。もしかしたら多くの人がこれを日々感じて仕事をしているかも・・

以上が事業ドメイン(事業領域)の説明でした。簡単な概念ですので、頭にも入りやすいです。

機能的定義が上手くできるようになるまでには少し慣れが必要です。あらゆる日常の場面で事業ドメインを考える癖を身につけましょう。買い物でお金を払うときに、自分は何に対してお金を払っているのか、本当は何を欲しているのか。

事業ドメインをしっかりと設定し、顧客に対して明確な価値を提供することで、あなたのスタートアップは確実に成功に近づくことができるでしょう。また、商品開発やビジネスプランを作成するビジネスマンにとっても非常に重要な概念です。確実に自分のものにしていってくださいね。

次回は事業ドメインの考え方を発展させ、ビジネスプラン策定やセールススタッフの年度計画書作成について解説します。

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